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映画『夏へのトンネル、さよならの出口』 感想

観てきたので感想です。

王道ボーイミーツガールでとても良かったです。

 

以下、ネタバレあり感想です。

 

 

ウラシマトンネルという欲しい物がなんでも手に入るトンネル。

お互いの欲しい物のためにトンネル調査のための協力関係を結ぶ塔野カオルと花城あんずの物語です。

 

タイトルにもある通り舞台設定は夏なんですけど、個人的に夏が一番好きな季節なので青い空に入道雲とかひまわりが描かれるだけで満足度が高くなってしまうんですよね。ちょろい。

 

主人公の二人は感情を表に出さないので、協力関係を結んでいてもそっけないままなんですけどじわじわとメール回数が増えたり、なんならデートまでしちゃうし、表情には出さないけど少しづつ距離を縮めていく感じが良かったですね。んで、二人が出会った駅のホームで出会いのときの再現をするシーンがあるんですけど、出会いのときとは違って晴れていて背景にひまわりがぶわーってなってて、二人が笑い合うのですけどこのシーンを見せるために物語を紡いできたといってもいいくらい良きシーンでした。めちゃくちゃ好き。後に同じ場所で大人になったあんずが一人で感情を爆発させるので、この場所は二人の関係性の変化を表す場所なんでしょうね。

 

ウラシマトンネルを使わずとも自分が欲しい物を手に入れられそうなあんずと、どう足掻いても欲しい物が手に入りそうにないカオルの対比になってきたところで、「これあんずが残した漫画を後からカオルが読んで彼女からのメッセージを受け取るやつでは・・・?」というもやもやハッピーエンドの予感がしていたのですが、そんなことなかったので安心しました。

 

映画だとカオルの父はちょいクズっぽい感じに描かれていましたけど原作だとちょっと違う印象を受けるんですかね。彼は再婚相手連れてきて亡くなった娘のことなど忘れたようにも見えましたが、どうでもいいとは言ってないので彼は彼なりに自分の人生を歩もうとしてるんですよね。酒癖悪いのであまり良い印象はないですけど。カオルは自分のせいでなくなった妹が戻れば家庭は元通りと思っていましたが、そうなりそうもなかったのでウラシマトンネルで亡くなった妹と話をする形になり、さよならの出口というのは妹への気持ちの整理ですかね。

 

感情表現が豊かじゃないキャラが時折みせる表情、感情の表出っていいですよね。あんずが漫画を褒められてじたばたするところとか、カオルが一人でウラシマトンネルに行ったことに感情爆発させるところとかすごい良かったです。ツンデレ……クールデレ……とも違いますね。デレなくても良いので。

 

物語はほぼほぼ二人の世界だけで描かれていて、王道なボーイミーツガールですが世界観を彩る美術/音楽がとてもよかったので満足度が高かったです。とても良い映画でした。